AV新法の1-4か月ルールと解除権|出演前に押さえたい制度のポイント

2022年6月施行のAV新法(AV出演被害防止・救済法)では、「1-4か月ルール」と呼ばれる期間規定が設けられました。これは、契約書等の交付後1か月は撮影できず、全撮影終了後4か月は公表できないというもので、出演者が契約内容を見直し、意思を再確認する時間を確保するための規定です。

当記事では、AV新法の「1-4か月ルール」の詳細な内容、解除権の考え方、違反した場合の刑事罰、ルールが議論を呼んでいる理由を解説します。

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1.AV新法で定められた「1-4か月ルール」とは?

2022年6月23日施行の「AV新法(AV出演被害防止・救済法)」では、契約書等の交付後1か月は撮影できず、すべての撮影終了後4か月は公表できません。これを一部では「1-4か月ルール」とも呼ばれています。出演者が判断を見直す時間を確保するための規定です。

 

1-1.AV新法とは何か

AV新法(AV出演被害防止・救済法)は、AV出演をめぐる被害を防ぎ、被害者を救済するための法律です。性行為映像制作物(AV)の定義を置いた上で、出演者への性行為の強制を禁止し、出演契約の締結・内容・履行に特則を設けます。

年齢や性別を問わず被害の防止と救済を図り、出演者の人格を尊重し、心身の健康や私生活の平穏を守ることを目的に、説明・書面交付義務違反時の取消しや解除、一定期間の無条件解除、差止請求やプロバイダ責任制限法の特例、相談体制整備や罰則などを定めています。

出典:法務省「AV出演被害防止・救済法 概要」

出典:内閣府「AV出演被害防止・救済法の解説」

 

1-2.AV新法が制定された背景

AV新法が制定された背景には、2022年4月1日に成年年齢が18歳へ引き下げられ、18・19歳が未成年者取消権で出演契約を取り消せなくなるとの懸念が強まったことがあります。勧誘や違約金の脅しで意に反して出演してしまう事案が続き、出演後・公表後に販売や配信を止めたいという訴えも多く、従来の民事救済だけでは十分に対応しにくい点が課題でした。

そこで2022年6月23日施行のAV新法では、年齢・性別を問わず被害を防ぎ救済する目的で、契約の取消し・解除や公表停止等を求める仕組みを整えました。

 

1-3.1-4か月ルールと呼ばれる期間規定の内容

AV新法の「1-4か月ルール」は、履行に関する特則(7~9条)で定められた期間規定です。契約直後に撮影へ進むことや、撮影後すぐに販売・配信されることを防ぎ、出演者が内容を見直したり意思を再確認したりする時間を確保する狙いがあります。あわせて、公表前に出演者が映像を確認できる仕組みも置かれています。

規定 内容
第7条
(撮影の時期制限)
出演契約書等または説明書面等の交付・提供を受けた日(いずれか遅い日)から1か月経過するまで、制作側は撮影してはなりません。※同条では、契約で定めた行為であっても出演者が撮影の全部または一部を拒絶でき、拒絶による損害賠償責任を負わないこと等も定めています。
第8条
(映像確認の機会)
制作公表者は、公表が行われるまでの間に、出演者に対して、契約に基づき撮影された映像のうち公表する出演映像を確認する機会を与えなければなりません。
第9条
(公表の時期制限)
作品に係るすべての撮影が終了した日から4か月を経過するまで、公表(販売・配信等)してはなりません。

ここでいう「1か月」は契約書面等の交付(または説明書面等の交付)のどちらか遅い日を起算点とする点が重要です。また、「公表」は販売や配信など一般に見られる状態にする行為を広く含むため、公開スケジュールを組む際は、この4か月規制を前提に計画する必要があります。

出典:e-Gov 法令検索「性をめぐる個人の尊厳が重んぜられる社会の形成に資するために性行為映像制作物への出演に係る被害の防止を図り及び出演者の救済に資するための出演契約等に関する特則等に関する法律」

 

2.AV新法における解除権の基本的な考え方

AV新法は、出演者が意思を見直せるよう契約の取り下げや解除を認め、撮影前後・公表後の救済手段を用意しています。ここでは、AV新法における取り下げ・解除権の考え方を分かりやすく説明します。

 

2-1.撤回と解除の違い

撤回と解除は似ていますが、法律上は対象となる段階が違います。撤回は、出演契約が成立する前に、出演者が「申込み」を取り消して、契約を成立させないための手続きです。解除は、いったん成立した出演契約を終了させ、以後の契約上の拘束から離脱する手続きです。どちらも出演者が同意を見直した結果、契約関係から外れるための権利ですが、前者は「成立前」、後者は「成立後」を扱います。

いずれも書面または電磁的記録で通知し、通知を発した時点で効力が生じます。AV新法が第13条で「申込みの撤回又は契約の解除」と併記するのは、契約の成立前後どちらの場面でも離脱できるようにするためです。

 

2-2.公表後1年以内に行使できる解除権の位置づけ

AV新法では、性行為映像制作物が公表された日から1年以内であれば、出演者は申込みの撤回や出演契約の解除を行い、契約関係から離脱できます(第13条)。一方で、公表日から1年を経過すると、この「公表後の解除権」は行使できません。一定期間を経ても解除しない場合は、意思が維持されたと扱いやすくなります。

契約書面交付後1か月は撮影できず、全撮影終了後4か月は公表できないという期間規定に加え、公表後は1年という区切りを置くことで、出演者保護と作品の流通・取引の法的安定性のバランスを取っています。なお、詐欺・強迫等に基づく取消しなどは別途問題となる場合があります。

 

3.AV新法に違反した場合に刑事罰は科されるのか

AV新法(AV出演被害防止・救済法)に違反すると、内容によっては刑事罰が科されます。特に、任意解除を妨害する行為と、契約書面・説明書面の交付や説明義務違反は、法律上はっきり罰則が定められています。

規定 内容
第20条 任意解除の妨害目的で、不実告知や威迫・困惑させる行為をした場合:3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金(併科あり)
第21条 説明書面等/出演契約書等の不交付、必要事項の不記載、虚偽記載など:6月以下の拘禁刑または100万円以下の罰金(併科あり)
第22条(両罰規定) 上記(第20条・第21条)の違反が法人の業務として行われた場合:行為者に加えて、法人にも罰金刑(第20条類型は1億円以下、第21条類型は100万円以下)

出典:e-Gov 法令検索「性をめぐる個人の尊厳が重んぜられる社会の形成に資するために性行為映像制作物への出演に係る被害の防止を図り及び出演者の救済に資するための出演契約等に関する特則等に関する法律」

 

4.AV新法の1-4か月ルールが議論を呼んでいる理由

AV新法の「1-4か月ルール」は出演者が契約や撮影内容を見直す時間を確保できる点で評価される一方、制作・販売スケジュールやコストに影響し現場運用との調整が課題ともされています。ここでは、評価点と議論点を解説します。

 

4-1.出演者保護の観点から評価されている点

AV新法の1-4か月ルールによる撮影から公表までの期間の規定は、契約直後の勢いで撮影や公表に進む流れをいったん止め、出演者が内容を読み直し、周囲や相談窓口に相談して意思を再確認できる点が評価されています。勧誘時の誤説明や心理的圧力があっても、時間を置くことで誤認に気づきやすく、撤回・解除の判断もしやすくなります。

さらに、公表前に映像を確認できる仕組みや書面交付・説明義務と組み合わさることで、想定外の撮影や同意のすり替えを見抜きやすくなり、出演者の自己決定を実効的に支えるとされています。結果として、被害拡大を防ぎやすい点も重要です。

 

4-2.制作・現場運用との調整が課題とされている点

制作現場では、出演者・スタッフ・ロケ地・機材の確保を短期間で組み立てることが多く、待機期間が入ると日程が崩れやすいと指摘されています。再調整やキャンセルが増えると、人件費・スタジオ費・交通費がかさみ、撮り直しの判断も難しくなります。公表が遅れる分、宣伝や販売計画、資金回収も後ろ倒しになり、小規模事業者ほど負担が増えがちです。

季節企画やイベント連動の作品はタイミングを逃しやすく、在庫や配信枠の調整も発生します。出演者が早期公開を望んでも例外運用が難しく、現場の柔軟性を損なう点が議論を呼んでいます。

 

5.AV出演を検討する前に知っておきたい相談先とサポート体制

すでにAVに出演してしまった場合や、撮影映像が販売・配信されている場合でも、事情によってはAV新法に基づき出演契約の取消し・解除を行い、公表の停止や差止請求を検討できます。

まずは一人で抱え込まず、内閣府の「性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センター」に相談してください。全国共通短縮ダイヤルは#8891(NTTひかり電話は0120-8891-77)で、契約の取消・解除や差止請求の進め方、弁護士など専門家の紹介、警察への同行、心理・医療面の支援までつながります。

相談時は、契約書・説明書面、LINEやメールのやり取り、撮影日程や支払の記録、掲載URL等を手元に用意すると整理が早まります。個別の交渉や通知は弁護士、脅迫・暴力・つきまとい等の危険がある場合は警察署にも相談してください。受付時間や連絡手段(電話・面談・SNSなど)はセンターごとに異なるため、一覧で最寄りを確認すると安心です。

 

まとめ

AV新法(AV出演被害防止・救済法)では、契約書等の交付後1か月は撮影できず、全撮影終了後4か月は公表できない「1-4か月ルール」が定められています。出演者が契約内容を見直し、意思を再確認する時間を確保するための規定です。公表後1年以内であれば解除権を行使でき、違反した場合は刑事罰が科されます。

この期間規定は出演者保護の観点から評価される一方、制作スケジュールやコスト面での調整が課題とされています。すでに出演してしまった場合でも、内閣府のワンストップ支援センター(#8891)に相談することで、契約の取消しや差止請求などの支援を受けられます。

AVプロダクション「NAX」では、働く女性のことを第一に考え、どのような仕事でも女性の確認を取ってから正式に話を進めます。女性スタッフも多数在籍しており、細かなサポートも行っているため、興味はあるけど不安という方は、ぜひNAXにご相談ください。

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